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デイトレとは「投資」にあらず!SRIの考え方が、投資の常識?

秋山:

SRIを日本語にすると「社会に対して責任を果たしている企業に投資すること」という意味になりますが、先ほど申し上げたように「社会への責任を果たしながら、どのように稼いでいるか」を判断しての投資を意味します。だから私は、デイトレーディングは「投機」(株の価格変動を予想して、現在の価格との差額を利益にすることが目的という意味での)ではあっても、「投資」とは思っていないんですよ。「投資」は企業の将来性を見込み、長期的な視点を持って行うものですから。
 現在、どれだけ利益を上げている会社だとしても、不正を行って消費者をあざむいていたり、社員を過労死寸前まで働かせていたりといった、利益を上げるプロセスが間違っていたら……。企業として持続的に利益を上げることはできませんし、将来も危うい。そういった企業に、だれが投資したいでしょう? ですから、投資というものは、すべてSRI。SRIはフツーの投資を言っているにすぎないんです。じゃあ、SRIと、そうでない投資との違いはなにかというと、企業のどこにフォーカスするかということです。
 当社の調査は「企業の誠実さ」「組織としての自律能力」「管理体制」をチェックすることが特徴。「倫理やコンプライアンス」への取り組みを企業調査の評価基準にしていますが、基準は調査会社によってホントさまざまです。
企業調査のために、全上場企業に送っているアンケートは、経営トップによる自由記入形式のものと、選択形式の質問で構成。「社員の過重労働やメンタルヘルスケアについて」など、時代を反映した質問も盛り込まれている。

末吉:

先ほど、「投資と投機」という話が出ましたが、CSRや環境対策は「コスト」だという発想の企業がまだまだありますよね。それをしたところで、すぐ利益にならないと。「投機」の考え方です。
 でもCSRや環境対策は、将来のビジネスを生むための、新しいビジネスを生むための「投資」だと僕は思うんですよ。企業として社会に害を与えながら短命に終わりたいのか。永続的に続く企業でありたいのか。これまでのさまざまな歴史が、それを教えているのに。

秋山:

ですから、CSRは「競争力」なんですよね。企業の競争力を確保するためには、多くの人から信頼を得ないといけない。社会が抱える課題を解決することで、新しいビジネスも生まれる。そういった発想でCSRに取り組む企業も増えていることはたしかですが「CSRになんの得があるの?」なんて言う企業も、まだまだありますね。

体裁をつくるだけで終わらない、CSR実践に大切なこととは

秋山:

当社は、2001年度から全上場企業にSRIのためのアンケート調査をしているのですが、アンケートの回答社数は1年目が469社、2年目は607社、3年目から800社以上と年々増えてはいます。ただ、CSRに本気で取り組む企業と、そうでない企業との差が開いて、二極化が進んでいるのが実情でしょうか。

末吉:

立派な「CSRレポート」をつくったはいいけれど、「さて、なにをすればいいの?」という企業も増えているでしょ? 形から入ってしまうような。僕の言い方をすれば「一夜漬け」。議論がされていないんですよね。極論をすれば「ライバル企業が CSRに力を入れているようだから、うちも始めないとマズい」とか、経済誌などで企業ランキングを付けられたときに「あの企業より、うちが低いのはCSR に力を入れていないからだから始めなくては」とか。 CSRが別の目的の道具として使われている。それでも、なにもしないよりはいいですけど(苦笑)。立派なレポートをつくるよりも、社内で議論を繰り返しながら苦労して、独自のCSRをつくることに向かっていくほうが、よっぽど誠実だと思いますよ。

秋山:

当社では、CSRの取り組み支援事業も行っていますが、とくに3つのフェーズを重要視しています。
 まず、経営者の本気度。社外にはいいことを言っていても、社員が利益と理念の間でジレンマに陥るようなときに「適当にやっておけ!」では……。言葉と行動が一致しているか、です。
 次に、マネジメントシステム。先ほどの話のように、立派なCSRレポートをつくっても「仏つくって魂入れず」ではダメなわけで。実践するために組織を動かす仕組みや体制がしっかりしているか。
 そして、3つめとして社員がそれを十分理解しているか。たとえば、自社の理念やCSRの取り組みについてディスカッションや研修をすることで、社員全員にその意識が浸透されているか。この3つを実践するのはなかなか難しいんですけど。

末吉:

経営者の意識だけでも、マネジメントだけの話でもダメ。毎日、実践するのは社員ですもんね。
 アメリカのSRI市場が2兆ドルで、日本は多く見積もったとしても4000億円といわれています。なぜ、こんなにも大きな差が生まれてくるのか。といった話につながるんですが、いくら投資家がSRIの視点でいい企業を選んだとしても、消費者がそういった視点を持たずに、どんな企業の商品でも買うというのでは、企業は差別化できないですよね。同じ商品を買うにしても、この企業の商品を買いたいんだ、という消費意識がアメリカは高いですが、日本の場合、非常に低い。その差が大きい。ですから、日本も企業がCSRの重要さを社員に訴えていくことで、会社人であり、消費者でもある、人間個人としての CSRの意識も高まるはずだと思います。会社ではCSRにマジメに取り組み、社会ではいいかげんというのは、おかしいわけですからね。

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