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エコカブProject

クリー族が言った言葉

『最後の木が死に、最後の川が毒され、最後の魚を獲り終えたとき、お金は食べられないと人はようやく気づくのだ』

これですよね、まさに

ニコル:

ここはヒドいところだったんです。戦後、この土地を所有していた人たちが畑をつくろうとして一度木を切ったんですが、畑にもならない土地だったから、そのまま放置したんです。だから、この川は我々がつくったんですよ、わざわざ。水はけが悪くてね。でも、最近になってホタルが出始めたんです。

末吉:

かなり手がかかっているんですね。

ニコル:

ずいぶん木を移植しています。いい木は場所を変えて残す。日本は、移植技術がうまいから。

末吉:

日本はたしかに、「根回し」が得意ですからね(笑)。

ニコル:

これは、子どもたちを言い訳にした、僕の遊び場。
「サウンドシェルター」といいます。大きな耳みたいですから、カエルの声や動物が歩く音もよく聞こえるんですよ。語り部に来てもらって、子どもたちにおばけの話をしたり、火を焚(た)いたりしてね。でも、背中を守られているでしょ、だから怖くない。

末吉:

これはいい! たしかに、うしろがカバーされていると安心感がありますね。いや〜、これは楽しいなぁ。

ニコル:

僕はシュラフ(寝袋の一種)を持ってきて、ここでお酒を飲んでいます(笑)。夜から朝に変わる瞬間はいいですよ。夜はカエルの大合唱だったのが、朝になると、ガラッと今度は鳥が鳴き始める。
  これはクリー族(北米先住民)の狩猟用の簡易小屋だったものをアレンジしてつくったものなんですよ。動物たちからは火が見えないので、動物たちにとっても安心なんです。

末吉:

クリー族! 僕はよく講演で言うのが、そのクリー族の言葉なんです。「最後の木が死に、最後の川が毒され、最後の魚を獲り終えたとき、お金は食べられないと人はようやく気づくのだ」。

ニコル:

本当にそうです。

末吉:

これは、山椒ですね。

ニコル:

ここらへんは山椒に、あとワラビも採れるんです。

末吉:

それ、全部、酒のサカナにいいものばっかりだ(笑)。

ニコル:

この木の、僕の腰ぐらいのところにあるキズは、うさぎが付けたものです。
うさぎは木登りがうまいですよ(いたずらっ子のような表情で)。

末吉:

ホントですか?

ニコル:

ほら、雪が降るでしょ?

末吉:

あっ、わかりました! 雪がこの高さまで積もるから。

ニコル:

そうです。正解!

人間が手を加えないのが、本当の自然?それは自然を知らない人が言う言葉!
過剰に伐採することも、まるで手入れしないのもまた、自然を痛めつけていることになるんです

ニコル:

もう少し歩きましょうか?

末吉:

この上の木は、桜ですね。

ニコル:

そう! お花見しながら、お酒飲みたくて植えたの(笑)。

ニコル:

これは名付けて「弥生池」。ここは川の跡が残っていて、そこから弥生時代の土器がいっぱい見つかったんですよ。だから弥生池。

末吉:

ここには、昔から人が住んでいたわけだ。

ニコル:

ええ。しかし、畑をつくるため、土地を改良したので木が育たなかったんです。それで池を。

末吉:

森のなかで、水の音がするのも、またいいですね。森の遊園地だ!

ニコル:

視覚障がいのある子が、はじめて川の水を触ったら「あっ、生きてる!」って。弥生時代から田んぼのために、里山を保護してため池をつくっている。ため池はタンパク質の資源の素にもなりますし、日本人の独特の知恵と美意識があったんでしょうね。

末吉:

これは、なんでしょうか?

ニコル:

カナダ藻ですね。ある時期、ものすごく増えました。鳥が来るからしょうがないんだけど(糞のなかの種によって繁殖するため)。あんまり増えたときは、池のなかに入ってかき出して、肥料にしたりね。カワセミも巣をつくりますから、ドロもかき出しますが、それも肥料になります。

末吉:

生態系などのいろんなことを知らないと、プランニングできないですね。

末吉:

この森の奥にある山も、ニコルさんの山ですか?

ニコル:

あれは、自然が残ってますね。国有林です。「手、出してみろっ!」と林野庁に言ったら、切らなかった(笑)。

ニコル:

これはなんだと思いますか? タラです。春に食べたらおいしいですよ。

末吉:

タラの芽ってこんな大きな木でしたか。これは、はじめて知った。これは花ですか? 一つ一つが種になります?

ニコル:

ええ、なります。タラの芽は都会で買ったら、高いのにね。この森には売るほどありますよ、売りませんけど。

ニコル:

この木も間引かないといけないな。移植したり、植林した木は思い入れもあるから切りたくないんですが、間引くと周りが成長しますから。

末吉:

間引いた分、ほかの木に栄養が回るということですね。

ニコル:

いつも切るか残すかどうするか。この森でほかのレンジャー(森の管理人)と議論して、最終的な結論を出すんですよ。

ニコル:

カラマツを間引いたら、笹が出てきました。そうしたら、いろんな木が成長して、若木が笹よりも上にドンと。15年前は僕の首くらいの太さだったのが、涼しさを与えたら、僕のお腹くらいの太さになっちゃった(笑)。保水力がよくなったんですね。木を間引くことで、ほかの木が育つ。だから、切り出すときはウデが必要です。

末吉:

なるほど。達人のテクニックがいるわけですね。

ニコル:

昔の日本なら、そうやって切った木を、垣根や家をつくるときのハリなどに使ったわけですけど。

末吉:

ええ、かつてはそうですね。

ニコル:

過剰に木を刈ったり、逆にまったく面倒を見ないのもまた、自然を虐待していることになるんです。日本は長い歴史のなかで、ほどよい関係で森と共存してきたはずなんだけどなぁ。

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