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自主的な取り組み、規制の機能の検証が弱い日本

末吉:

話は変わりますが、「CSRレポート」の歴史を見ると、まずはどうにかつくってみるという事実先行でいって、後追いする形で中身の検証や見直しをしていくケースが多い。それがやっぱり現実的なところでしょうか?

國部:

まず、出すことは重要でしょうね。海外のSRI(社会的責任投資)関連の調査機関から質問状が送られてきたり、なにかしらの反響があって、それを受けて少しでも読者のニーズに合わせて、いいものに形を変えていく。それが大事でしょうね。
  それでいえば、日本企業はCO2の排気量について詳細なデータを出すところが多いですが、海外の企業はじつはそんなに、日本の企業ほど細かい数字は出していなかったりしますよ。

末吉:

たしかに。僕は、世界のトップ500企業に対して地球温暖化対策に関する情報公開を求める「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト」という取り組みをしているんですね。そのなかで、日本の企業へ送った質問状の回答を見ると、CO2の排気量にかかわる数字はよく開示するんです。これ、なぜかというと、日本は「温対法」(「地球温暖化対策の推進に関する法律」の通称)で、温室効果ガスを多量に排出する特定排出者は、自らの温室効果ガスの排出量を算定して、国に報告することが義務付けられているからなんです。
  日本はルールや規制があると、ものスゴくマジメに取り組みますが、ルールがないと、欧米のようにリーダーシップを持って取り組むことができていない。

國部:

ホントそうですね。環境報告書に関しても、これは環境省のガイドラインに沿って、自主的に行うものなんですね。「環境配慮活動促進法」(「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律」の略称)という法律で、すべての上場企業は環境報告書を作成して公開しなくてはならない“努力義務”があるんです。やらなくてはいけないのですが、あくまでも努力義務なので、やらなくても罰則はない。だから自主的なものになっている。

末吉:

非常に日本的ですよね。
  フランスの会社法では、上場企業は年次報告書のなかに、環境活動やCSR活動の成果や報告を入れなさい、というルールがあるんです。なにを入れろとは言っていないですが、入れなくてはいけないという法律の枠をつくって、そこに追い込んでいるわけです。その内容は、投資家や社会が見て判断をすればいいという考え方。

國部:

情報開示義務によるコントロールですね。

末吉:

そうです。箸の上げ下げには文句は言わないけれど、箸を持っているかどうかに関しては口を出しますよ、というような。ただ、これを導入するには条件があって、投資家や社会に判断能力がないと成立しない。成熟した社会なら、このルールはプレッシャーになりますが、CSRなどに関心のない社会では、まるで意味がありません。

國部:

日本の場合、その制度や法律がうまく機能しているかどうかの検証が非常に弱いですよ。

末吉:

規制でいえば、現在、構造改革として「ディ・レギュレーション(規制緩和)」と「リ・レギュレーション(再規制)」のふたつが同時並行で動いている時期だと、僕は思うんです。
  つまり、20世紀までの経済成長を中心にしてきた社会への規制は、グッバイ。どんどんハズしましょう、と。でも21世紀に入ったら、これまでになかった課題を抱え始めたから、そこには新たなルールを入れましょう。という感じで、レギュレーションが再度始まっている。言ってみれば、規制の入れ替え戦が行われていると思うんですが、國部先生はどう思われます?

國部:

おっしゃるとおり。私もそう思います。規制をどんどん増やすのではなくて、効果的なものへと変えていっていく、そういうことでしょうね。それと、やはりCSRやISO14000もそうですが、法律での強制はしていないけれど、守らなくてはいけないという自主的な指針「ソフトロー」もないといけないと思いますよ。そのためには、外部のステークホルダーが、企業のほうをしっかりと向いて意見を言って、企業もそれを取り入れる姿勢が重要でしょうね。

末吉:

最後は消費者のレベルに、すべてのツケが回ってくるわけですからね。ツケを取る国民が判断能力を持っていないと、なにも変わらない。
  ただ一方で、最初に消費者にアクションを取ってもらうのではなくて、もっとアクションを取りやすい立場にある、たとえばメ-カーなどのビジネス自身が消費者の前に行動すべきというのもありますよね。

國部:

もちろん、そうです。

末吉:

國部先生は、企業サイドをうまく律して、新しい軌道をつくる、という大変なことをされていらっしゃるわけですもんね。

國部:

ただね、私たちも一所懸命やっているんですけど、企業のステークホルダーが背中を押さないと、どうしようもないケースが多いですよ。

末吉:

そこは投資家が担うべき部分でもあるといえるんじゃないですか。
ISOとは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略称で、規格や標準値の国際的な統一規格と、その相互承認を推進する国際機関ぢゃ。この機構が策定している標準化規格の総称としても使われておるのぉ。
エーコ、ビミョーに知ってるかも。デジカメとかにISO感度とかある、あれもそうですよねぇ。
それもそうぢゃな。なかでも、「ISO14000シリーズ」は「環境ISO」と言ってのぉ。組織活動が環境におよぼす影響を最小限に食い止めることを目的に定められた、環境に関する国際的な標準規格ぢゃ。
エコかぶ様風に、ドロヌマ様が続きを解説すると、そのシリーズの「ISO14001」は環境マネジメントシステムに関するドロでのぉ〜。組織活動や製品・サービスの環境負荷の低減など、環境パフォーマンスの改善を行うための仕組みが継続的に運用されるシステム(環境マネジメントシステム)を構築するために要求される規格ドロのぉ〜。まっ、取得しなきゃならない規則もないわけだから取る必要もないし、取得しているところは、手放しですばらしい企業だと称賛する話でもないドロねぇ〜。
最後の言葉は、余計だけどなっ!
ただまぁ、ISO14001の日本の取得件数は、世界的に見ても最大取得件数なんぢゃが、これも日本のブランド好きの影響があるかもしれんのぉ。ISOも「環境報告書」と同じでのぉ、出せばいい、取得したからいいという話ではなくて、環境負荷の低減に対して努力する、ということが本意ぢゃ。
有言実行するためのプレッシャーを自分にかけてるってことか。
そのとおりぢゃ!
ビ●ーズブートキャンプに入隊した、とブログで宣言しておいて、途中で除隊するチキンヤローと同じにならなきゃいいドロねぇ〜。へへへッ。
……べつに!(腕を組んで)
「ホルダー」だから、なにかを持ってる人!「ステーク」は……、マジわかんねぇ〜。
勉強しないから、頭んなかも茶色に変色しちゃってるドロね〜。「Stakeholder」。利害関係者のことドロよぉ〜。なっ? エコかぶ様!
正解ぢゃ! 企業に対して利害を持つ者というと、顧客(消費者)、株主、取引先あたりがすぐ浮かぶかのぉ。ぢゃが、それだけぢゃないんぢゃな。下に図で表してみたが、企業活動をするうえでかかわる、すべての人のことを指すんぢゃ。
あっ、そっか。従業員も利害関係者になるんだ!
そうなんぢゃ。企業はさまざまなステークホルダーとコミュニケーションを取って、有効な関係を築くだけでなく、ともに成長しながら互いの利益を実現していくことで、おっぱっぴーにならなきゃいけないんぢゃな。
……エコカブ様、「おっぱっぴー」の使い方、ビミョーに間違ってるしぃ。
今回は、2007年の流行語てんこ盛りでお送りしましたドロ。

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