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エコカブProject

本質を見抜くアーティストの視点と想いで融資する心のバンクでありたい

―――ミュージシャンと元銀行員という異業種の結びつきが、とってもユニークですが、実際に融資するシーンでアーティストの方々も審査などに参加されるのですか?

見山:

もちろん。アーティスト主体のバンクなので、最終的な決定権は彼らです。また、環境的な知見は、田中優さんからいただきます。ただ、金融の基本的な部分も押さえておく必要があるので、そこは僕が押さえないと。かなりバランスの取れた審査チームだと思いますね。
環境への融資といっても、環境問題は奥が非常に深いですし、融資を申し込んでくる方は、それぞれ想いを持っています。それに僕ら、審査する側も想いを持っている。両者の想いをつなげるのが「お金」という道具。それを巧みに結びつけるのが僕らの役割ではあるんですが、アーティストは金融出身の僕とは違い、感性を重視して、鋭く的確な判断ができるんですよ。

末吉:

アーティストの鋭さとは、たとえば?

見山:

彼らは本質を見抜く力を持っている、と僕は思っていて。いまの世の中全般そうですが、理論的な思考や情報は町にあふれているじゃないですか。そういったものは得るだけでなく、どう活かすか、つなげていくかといった統合力が重要ですよね。その統合力は右脳を使う感性、心の部分だと思うんです。彼らはそこが非常に長(た)けています。
象徴的な事例でいえば、以前「ゴミ袋をデザインする」というプロジェクトからの融資の申し込みがあったんです。これ、環境問題にどっぷり取り組んでいる人の頭のなかの思考だと、NGだと思うんです。ゴミは減らす方向へ持っていくのが本筋なのだから、ゴミ袋をデザインするなんて、なにごとだ。矛盾していると考えているわけです。
ところが、櫻井は「僕は、ゴミ袋をデザインするという発想は好きです」と。ゴミはある種、幸せの抜けがらだったりするわけで、捨てるモノにも想いを込めるという作業は、モノを大切にするということにもつながると言ったんです。僕は目からウロコで、あっ、こういう発想って大事だなと非常に学んだんです。実際、このゴミ袋をデサインするプロジェクトには融資を行い
ました。

末吉:

アーティストの世界もそうでしょうが、分野を問わず、その道で成功した人というのは、あらゆることを経験しているはずなんですよ。成功した人、なにかをなし遂げた人は、すべての分野において共通のことをやっています。単純にいえば「一所懸命にやらないといけない」とか「ほかと差別化するために秀でて目立たないといけない」とか「管理はしっかり行う」とか「人の和を大切にする」とか……。さまざまな成功者共通の要素を究めることで、普遍的なものを身に付けている。そういった習得したものをベースに、ほかの分野のことも見ているんでしょう。
アーティストは、銀行員が持たない感性や才能を持っている、というのもありますが、成功者が持つ経営的な要素も十分持っているんだと思いますよ。

見山:

僕も大学院で、ロジカルシンキング(理論的な思考法)とクリエイティブシンキング(感覚的な思考法)を学びましたけど。会社でミーティングをすると、ある領域のなかで話をしますよね。その領域からはみ出した話をすると、話しづらいとか。

末吉:

周りにバカにされるんじゃないかとかね。

見山:

ええ、そうです。想定のなかでの話になるので、新しいアイデアが飛び出してこない。でもアーティストと話をしていると、話が行ったり来たりはするんですが、突拍子もないスゴいアイデアが飛び出したりする。これって、クリエイティブシンキングなんですよ。世の中的には、数字でわかっていても、動機になるのは、心に反応するもの。僕は銀行系なので左脳系だと思うんですが、アーティストは右脳系。ap bankは、これまでの左脳系のバンクではなくて、右脳系のバンクともいえるんですよね。
だから、融資を申し込んでくれた人のそのプロジェクトに対しての想いを、やっぱり大切にしたいんです。「どういう想いを持って始めて、どんなストーリーで、なぜそこに行き着いて、どう行こうとしているのか」。それがリアルに伝わってくるプロジェクトを、まず第1次審査で選んでいますね。

末吉:

それはメールでの審査ですか?

見山:

はい。2次審査ではキャッシュフローですとか、データの部分を見るんですが、最終審査で判断がつかない場合は、お会いするようにしています。
―――「想い」を重視した審査と考えると、顔を合わせて相手の表情を見て行ったほうが効果的にも思えますが……。

末吉:

銀行は伝統的に、現場を見るべきと、見ないべきだという2通りの考え方があるんですよ。現場を見てしまうと判断が狂うので、ペーパーで見たほうがいいという考え方。下手に見てしまうと引きずられる可能性もありますから。逆に、現場に行ってみたら、なにもなかったというケースもありますから、現場を見たほうがいいという考え方もあるんです。

見山:

そうですよね。ただ、ある程度は書面で読み取れるんです。メールで質問を投げかけてやり取りしているので、それで判断できると思っています。会うと、末吉さんがおっしゃるとおり、冷静な判断ができなくなってしまう可能性はありますね。

末吉:

人を見るというのは、昔から金貸しの大事な基本ではあるんですけどね。人に貸すのだから、と。人が6割、技術などの中身が4割かな。最終的には人を見るけれど、でも、人だけでは融資はできない。

 

 

 

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