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エコカブProject

「CSR」をキーワードに企業とかかわりを持ち、新たなプロジェクトを模索

末吉:

CSR的にいうと、ごく当たり前のビジネスを、ビジネスとしてやってきた企業が「さあ!いよいよ心で考える問題がやってきました。どうしましょう」と。それがCSRですよね。でも、ap bankはビジネスが始まりではなくて、先に心がある。CSRありきですよ。それを実現するに当たってビジネスが始まっている。CSRありきで、どうビジネスで体現していこうか、しかもお金を貸すことで、どう広げていこうかと努力されている。
この挑戦は、日本の社会にとって新しい分野だし、大きな可能性を秘めていると思うんですよ。あえていえば、時間の経過とともに、ap bank自体がCSRかどうかを問われることも今後あるはずです。いまは純粋なNPOとビジネスとの間にいる存在ですから、NPO的存在になるのか、ビジネスとして確立できるのか。方向性の模索が始まるんじゃないでしょうか。

見山:

おっしゃるとおりです。まさに、その間で模索しています。企業とは積極的につながっていこうと始めているのですが、やはり企業とつながる接点は「CSR」だと思うんですよ。企業が実践するCSRに、ap bankがかかわりを持つ、という。ただ、企業メセナ(資金提供による文化や芸術などへの支援活動)的な社会貢献活動の一部にかかわるのではなくて、企業の本業でつながるべきだと考えています。
たとえばap bankは、「ap bank fes」での収益金を、融資をする際の原資や環境プロジェクトに使っています。しかし、企業とのつながりは「協賛」といった形でお金を提供していただくのではなく、「賛同」という形で本業でご協力いただいているんです。
その賛同企業のひとつである佐川急便さんは、モノを運ぶというのが本業ですよね。生産者から消費者へ運ぶのが「動脈物流」というのですが、リサイクルを行う資源化の流れを「静脈物流」というんです。fesではその静脈物流の部分でお手伝いいただいているんです。そういったつながりを増やしていきたいという気持ちはあります。

末吉:

そういえば、ap bankの金利は1%なんですってね。そうすると、金利だけで年間どれくらいですか?

見山:

約100万円弱です。

末吉:

事業コストを考えると、融資だけのビジネスで成り立たせるには、厳しいですよね。まずコストをカバーできるようになるのが、第一段階といえるんじゃないでしょうか。
そう考えたときに、必ずしも融資件数を増やせばいい、という発想ではなくて。そうだな、たとえば、ひとつのプロジェクトにap bankが500万円を貸すと、べつの金融機関から5000万円入る、といった仕組みも考えられます。1が10を持ってくるという発想。そんなモデルを考えていく必要もあり
ますよね。

見山:

そうですよね。まだ模索の段階ではありますが、なにかしらプロジェクトは仕掛けていきたいと思っています。

末吉:

新しいドアを開いて、環境問題だとか社会にお金が回らないといけないんだと、新しい価値観を提示していく。そんな役割をap bankが担っていくと思いますから、融資先はできるだけユニークなものを選んでいったらいいんじゃないかな。環境問題といっても間口は広いですけど、環境問題のなかでもエリアをいくつか選んで、apbankが育てていくというか。そんな意図的な融資もあっていいんじゃないでしょうか。それで成功事例が出ると、我々にもできるんじゃないか、と地方銀行などが始めるでしょうし、そうすると大手銀行も考え始める。先鞭(せんべん)をつけるといいですよね。
現在、ap bankは特定の人のお金を原資にして、環境活動をする人に貸すことだけをしているじゃないですか。でも本来のバンクは不特定多数からお金を預金としてもらって、それを元手に貸し出しをするもの。いまは片方しかないですが、これが両方できるといいな、と思いますけど。

見山:

ソーシャルバンクですね。

末吉:

そう、そう。預金する人がたくさん出てくると、僕は思いますよ。ap bankに預金したい人がね。ただ、そうなると多数の人の預金ですから、損はできない。そういう難しさはありますけど。

見山:

市民出資みたいな考え方もありますしね。

末吉:

そうです。株式で配当をするとか。あるいは、債券を発行して利息を付ける、という形であるとか。

見山:

日本でも、匿名組合(出資者が事業運営を行う営業者の営業のために出資をして、営業で生じた利益分配金を受け取る契約形態)で行っている風車のプロジェクトがありますけど。ああいった市民出資を意識してもいいかもしれませんね。

CSRありきのビジネス。輪や学びが広がる「貸す⇔返す」のつながり

末吉:

アメリカでは、融資だけでなく、一般の人が預金もできる(地域や同胞のための)いわゆるふつうの銀行が毎日2、3件はできるんですよ。もちろん、なかには潰れてしまうところもありますけど、毎日できている。

見山:

すごいですね、それは。

末吉:

ロサンゼルスには、日系人がつくったソーシャルバンクがあるんですね。僕は、そこの出資者のひとりにもなっているんですが、銀行をつくるときにもっともお金がかかるのが、コンピュータシステムの設備投資なんです。でも手づくり銀行なので、それを調える資金はない。それでどうしたかというと、じつは、アメリカにはそれらのシステムを貸し出す企業があるんです。だから、毎日銀行が生まれることができる。
日本には、そこまでのソーシャルバンクはありませんが、アメリカにはすでにこういった銀行をビジネスとして成り立たせられる社会がある。それを日本は知っておいたほうがいいですよね。いつまで日本は儲けるだけのビッグビジネスだけにお金を投げる銀行で止まっているのかと。
だから、ap bankは小さな風穴だけど、開けつつありますから僕は注目していますし、社会を動かすパワーになってほしいと思いますよ。存在その
ものがCSRで始まったからこそ、ぜひ成功してほしいし、こういうCSRの体現の仕方があるのだと、多くの人に知ってほしいですね。

見山:

CSRもストーリーだと思うんですよね、僕は。要するに、ある日突然、自分の会社がCSRをするなんてあり得ない。そもそも、創業理念だとか経営理念を見ると、どんな企業でも社会に対して責任を持って貢献していきたい、といったことを絶対言っているはずなんですよ。そこに立ち返って、社会の要請に企業としてどう対応していくのか積み上げていく。それが時間軸とともに培われて、地層のようになっていくのがCSRだと思うんです。
そして、振り返ったときに、それは「企業文化」になっているものだと。僕らがやっているap bankとホント同じで、ストーリーがあって、想いがある。それがCSRの本質でもあると思うんです。うちの小林がよく言う言葉で、これ僕、好きなんですけど。「自分たちはどこから来て、いまどこにいて、どこ
へ向かって行くのか」。環境問題に対する活動も、CSRも、突然変異でできないですから、そこが大事な要素だと思うんです。最後は、風土や文化
に昇華されなければいけないものなんじゃないかなって。

末吉:

これは、見山さんみたいに想いを持っている人に、新しいチャレンジをしてほしい、というメッセージでもありますよ。社会をよく見て、心で支援して住みよい社会をつくっていく主人公、というか。

見山:

あの、僕、思うんですけどね。環境への取り組みといっても広いんですが、融資という手段はよかったなと思うんです。金利1%に込めた想いは、寄付でもいいのだけど、それだと一過性のものになってしまう。デリバリーでおしまい。でも融資は返済する作業がありますから、融資先とつながっていける。学んで、また今後、新しい融資先に想いをつなげていける。
だから、やっぱりap bankが主人公になるのではなく、アーティストのパワーを活かして、いろいろな人の想いや世界をつなげていくプラットホームに、なっていきたいなって。

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