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エコカブProject

翻訳家・環境ジャーナリストとしても活動する、枝廣淳子氏をお招きし、環境イベントではよく顔を合わせるふたりをマッチング!改めて、対談していただいた。
政府が実施する「地球温暖化問題に関する懇談会」のメンバーにも選ばれたふたりに、温暖化を食い止め、サステナブル( 持続可能)な社会をつくるにはなにが必要なのかを大いに語ってもらった。

撮影/魚住貴弘

えだひろ・じゅんこ/ 1962年11月、京都府生まれ。東京大学大学院教育心理学専攻修士課程修了。2年間の米国生活をきっかけに、29歳から英語の勉強を始め、同時通訳者、翻訳者、環境ジャーナリストとなる。環境問題に関する講演、執筆、翻訳などの活動を通じて「伝えること、つなげること」でうねりを広げながら、行動変容と広げる仕組みづくりを研究。アル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領の著書『不都合な真実』の翻訳者としても知られる。地球環境の現状や世界・日本各地の新しい動き、環境問題に関する考え方や知見を「環境メールニュース」で広く提供するほか、最近では、地球温暖化問題に関する懇談会( 低炭素社会懇談)のメンバーにも選ばれ、多忙な日々を送っている。

すべての分野の人が考えるべき重要課題。それが、地球温暖化

―――末吉さんは金融出身で、お金というものをテーマに環境問題を語られ、枝廣さんは、翻訳のお仕事やシステム思考の普及といったキャリアもあって、環境を語られている。おふたりの共通点を挙げるなら、「マルチキャリア」ではないかと思うのですが。

枝廣:

(敬称略)

翻訳もシステム思考も環境も、じつは私がやっていることはすべてつながっていると思っています。「環境ジャーナリスト」や「翻訳家」というような肩書は、あとから周りの人がつけたもので、自分は自分のできることをやっているというだけなんですよね。末吉さんも同じじゃないかしら。

末吉:

「マルチ」という言葉で言うとね、温暖化問題は、僕は社会のすべての分野で考えるべきことだと思っているんですよ。どの分野でも対応を考えるべきものだと。とすれば、温暖化だけを考えている人というのは、極論をすると、不適切だとさえ思うんですよ。

枝廣:

同感です。

末吉:

それぞれのバックグラウンドを持っている人が、共通の問題点として温暖化をどうしようかと考える。そこに意味がある。僕は僕のバックグラウンドやビジネスを通じて温暖化の話をしていますが、枝廣さんはジャーナリストや翻訳家の「立場」で、この問題を見ている。そこに価値がある、と。

枝廣:

じつは、温暖化は問題ではない。というと挑発的な言い方ですけど、温暖化はもっと根源的な問題の症状のひとつにしか過ぎないと思うんです。魔法の杖を振って、温暖化問題を解決できたとしても、根源的な問題が解決されない限りは、またべつの問題が必ず起きる。いま、エネルギー
不足の問題も抱えていますが、それは温暖化とまったく同じ問題のべつの症状。ですから、根源的な構造の問題を解決しないとダメですよね。

末吉:

まったくそう思いますね。

枝廣:

その根源的な問題はなにかというと、有限な地球上で、無限の成長をしようとしていることです。「成長」や「なにが幸せなのか」の意味を考えていかないと、温暖化の問題は解決できないと思うんです。
じつは、私は大学では心理学を専攻していて、本当はカウンセラーになるつもりだったんですけど……。

末吉:

僕も相談にいこうかな(笑)。

枝廣:

大学院生として、指導教官の指導を受けながら、カウンセリングの勉強をしていたんです。でも大学院生で社会に出ていない私が、社会に出て苦しんでいる人の本当の気持ちはわからないだろう、と。ですから「一度、社会に出て、社会を見てから、また戻ってきます」といって一度社会に出たきり、戻ってないんですけど(笑)。
そのとき、なぜ精神的な問題を抱えている人がいるのかと考えていたんです。そのとき、なんて言うのかな、その人と本当に大事なものとのつながりが切れちゃっているんだ、と思いました。「本当にその人は、なにをしたいのか」や「本当の自分はなんなんだ」ということと、現実の自分とのつながりが切れちゃっている。本当はこう思っているんだけど、現実ではできないとか。そういうとき、人間ってツラい状況になりますよね。

末吉:

そうですね。

枝廣:

いまは環境の分野で活動していますが、私がやりたいことは、大事なものとのつながりを見直して取り戻すことなんです。環境や心や社会や教育の問題などいろいろありますが、根っこはすべて一緒。大事なものとのつながりが切れているんだと。
たとえば、自分と心とのつながりが切れると精神的に苦しくなる、自分と周りの人とのつながりが切れると、教育や家庭の問題が起きる。自分と地球とのつながりが切れると、環境問題が起きる。いま、私が環境のテーマに取り組んでいるのは、つながりが切れているのが一番見やすいのと、みんなの関心が高いから考えてもらえるからで、結局は、「大事なものとのつながりを取り戻したい」がやりたいことなんですよね。

日本⇔海外を伝えて、つなげるのがふたりの共通点

―――枝廣さんは“なにか”と“なにか”をつなぐ「コネクター」的な存在ですよね。

枝廣:

私自身が新しいものをつくっていくというよりは、こちらにあって、あちらとつながれば役に立つのに、いまはつながっていない、という状態を見ると、つなぎたくなっちゃうんですね、私。

末吉:

なるほど。

枝廣:

たとえば、日本のなかにはたくさんの環境の取り組みや技術があって、世界では知られていないものもいっぱいありますよね。でも、それを途上国に知らせることができれば役に立つのに、語学の壁などのせいでつながっていない、それはとってももったいないし、つなげたくなっちゃうんです。だから私は「つなげたい屋」かもしれない(笑)。
「伝える、つなげる」はずっとやってきたことだし、これからもやっていきたいことですけど、日本のなかだったら、執筆や講演。世界と日本なら翻訳や通訳になるし。そういう意味で、マルチキャリアとよく言われますけど、自分では「伝えることと、つなげること」のひとつだと思っています。

末吉:

じつは、僕も同じことを考えているんです。自分の役割はなんだと、ときどき考えるんですけど、僕の場合は「海外のことを日本にちゃんと伝える役割」だと思っているわけです。
それも「どこで、なにが起きた」という報道のような内容ではなくて、「なぜ、それが、そこで起きているのか」とバックグラウンドを僕なりに解釈して、「こういった事情があるから起きていて、それはつまり、先々こんな意味を持ちますよ」と。「ですから、日本も考えないと困るんじゃないですか?」という伝え方です。
僕のビジネスや金融のものの考え方は、海外に長くいた思考パターンを共有していると思います。だから極論するとね、語学ができるという意味ではなくて、日本語で書いてあるものよりも、英語で書いてあるもののほうが、僕には論理が明快でスコーンと入るわけですよ。

枝廣:

ええ、そうでしょう。

末吉:

不思議なくらいそう思うんですよ。こんなに英語では明快な論理で表現されているのに、なんなんだ、日本は!? って。これは語学の問題ではなくて、ストーリーのつくり方というか、論理性というのかな。

枝廣:

ホントそうです。私、通訳の仕事をしているでしょ。だから痛感しますよ。英語から日本語にするときと、日本語から英語にするときとあるんですが、日本語からはもう!

末吉:

やりにくいでしょ?

枝廣:

ええ。ときどき、やりやすい人がいると、その方は海外の経験のある人。多くの日本の方は、結論を言うまでに外堀を埋め始めて、だんだん結論に近づいていこうとするのですが、そのうちワケわからなくなってしまったりして。通訳している私もわからないですけど、聞いている人は、もっとワケがわからない(笑)。海外の人だと「結論はこうです」とまず先にあってから「なぜなら」とキレイに論理を並べるから、とっても明快。

末吉:

これは、日本と海外の温暖化問題に対するアプローチの仕方の違いが、如実に表れている話だと思いますね。
よく言うことですが、日本は「地球に優しくありたい。だから、なにをします」という言い方をしますよね。しかし、海外の大企業のトップが「地球に優しくありたいから……」なんて言ったら、だれも聞いてくれません。やっぱり、ちゃんと「自分が認識する世界の問題はなにであって、その問題に自分のポジションとしてこう考えている。だからこれをしなくてはいけないんだ」という論理を明快に言わないと通じませんし、企業からのメッセージはそうでなくちゃ!

 

 

 

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