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今月の特集

サブプライムローン問題の影響は?

読者の声では、国内ではこんなに好業績の発表があるのに、

「サブプライム」のせいで株価が下がるのがわからないという声がありますが。

 

 

 

中井: ある週刊誌の流行語大賞のなかで「そんなの関係ねえ」と「どんだけ〜」に続いて、第7位に「サブプライム」が入っています。第7位ですよ。言葉はみんな知っているんです。でもホントに知ってます? 日本では信用力の低い個人向けと報道されていますが、要するに、日本でいうと延滞などでお金を借りられなくなったような人たちのためのローン。そのローンを証券化してやっちゃっているわけだから、破綻は目に見えていますよね。
石川: やっぱりサブプライムの薄気味悪さは、どこにどれだけ毒が盛られたかわからないところにあります。ある意味、食品偽装問題どころじゃない。それがわからないうちに、影響がほかの消費者ローンや自動車ローンまで疑心暗鬼が広まって、根が深い。しばらくLTCMとの比較でいわれていたが、私は当初から1980年代のS&L並みかそれを超えるのではないかと思っていました。
三原: なぜ日本の株まで下がらなければならなかったか。それは、世界経済がフラット化して、サブプライムという毒マンジュウが世界へばらまかれたのです。しかし日本では、サブプライムなどわけがわからないので、根拠なき悲観になって、株がドンと売られたということです。

 

 

中井さんは、アメリカの深刻で悲観的な状況を、アメリカ出張の際にご覧になったということですが。

中井: いやあ、これは根が深い問題ですね。調べれば調べるだけゾッとするようなことで、とても軽視できないと思っています。私はこのサブプライム問題というのは、長く続くと思います。ただし、長く続くんだけど、マーケット的には問題としてわかってしまえば、あとは市場が織り込んでしまえばいいんですよ。でも完全に織り込むための材料が出切ってるかといえば、まだ出切っていない。証券会社や銀行の概要が明らかになって、「私たちは、こんなに損をして利益を吐き出しました。だから助けてください」っていうのが必要。そうすればアメリカでの公的な救済活動が出てくるということだと思います。日本の不良債権問題でも、最後に国のお金が銀行に入ってきましたね。しかし、アメリカでは「なんであいつらを助けるんだ」というアレルギーがあって、なかなかできないんです。先日、ブッシュ大統領も「やらない」と明言しましたよね。でも、これが行われなければ、サブプライム問題は終わらないと思いますね。それは、そう遠いことではないかもしれません。
三原: 僕が思うに、サブプライム問題は峠を越したと思います。問題の所在はどこなのか気付いているわけですよ。それで、アメリカが日本ともっとも違うのは、トップの首を簡単に飛ばしてすぐ応急処置に入る点。
中井: 日本は不良債権処理に約10年かかりました。これに対してサブプライムは、たしかに、きわめて対処が速い。アメリカでは物事の進展が日本の10倍くらいのスピードでどんどん進んでいるんじゃないですか。
三原: ただ、サブプライム問題のネックは値段が付かないこと。しかし、「墓場のダンサー」というようなアコギなヤツが入ってくれば値段も付く。もうそろそろ、そういうことが始まったんじゃないですか。
中井: そうなんです。新たな買い手がいるのです。現地に行ってよくわかったのですが、非常に楽観的な人たち、きわめて悲観的な人たち、そしてその間でマーケットを冷ややかに見ている人たちがいるんです。さあ落ちてきた、落ちてきたと手ぐすねを引いて待っている。それがアメリカのなかの投資活動にも、ヘッジファンドのなかにもいる。さらに「“白馬の騎士”現る」といった期待もあり、それはアラブの人たちやチャイナマネーかもしれないし、投資銀行なのかもしれない。しかし、先ほど言った処置が遅れれば、アメリカ経済だけでなく新興国市場のほうに影響も出てくるので、大きなヤマ場は2008年の1〜3月じゃないかと思います。まぁ、この件に関して結論をいうと、今回のサブプライム問題が教えてくれたことは、「ウマイ話が永遠に続くことはない」ということ。つまりアメリカの人はみんな、住宅価格は下がると思っていなかった。みんなが上がると思った。だからあんなバカなことをしてしまった。それはなにかというと、金利が2年間据え置きでその後変動制になるということ。この2年の間に住宅は上がり続けるとみんな思ったわけです。仮にローンを払えなくなっても、転売しちゃえば利益が出ると思った。そういうことがまかりとおり、それを承知で証券化してばらまいていた。それが問題の原点です。

 


日本の株価はなぜ上がらないの?

それにしても、日本市場の戻りが悪いのはなぜなのでしょうか。

石川: 日本は2003年から回復基調でしたが、その企業の利益を押し上げてきたエンジンというか、要因がだいたい一巡しちゃったんです。最初はリストラで、その後不良資産の売却、さらにその後、中国をはじめとした海外の需要が出てきて……、日本は中国に足を向けて寝られないと思いますよ(笑)。朝鮮動乱以来の特需で回復してきた。それらが、ここにきて、皆一服してきた。しかも、2007年は世界的に転機に入って、難しい局面を迎えました。それが株価の乱高下や、日本の株価が出遅れた背景にあると思いますね。

 

 

 

 

三原: 私はね、これは投資家にも相当問題があると思っています。はっきり言えば、株のことがよくわかっていないんじゃないか。株や金融がらみは、すべてマネーゲームだと思っているんじゃないかってね。したがって、根拠なく楽観したり悲観したりして売り買いしているのが日本人の特徴ですよ。自分で考えず、付和雷同して動いているんです。サブプライムなどという不安のとき頼りになるのは、じつはキャッシュ。だからキャッシュ化のために世界のあちこちで日本株が売られたわけです。こうした動きを日本の投資家がしっかり理解していれば、売らねばならない売りが出たときは絶対にチャンスだと思うはず。でも、付和雷同で売っちゃうのが問題なんです。
石川: よく言われるんですけれども、要するに、東京マーケットに投資している約65%が外国人投資家。その彼らは「円」で見るわけじゃなく、「ドル」や「ユーロ」で見るわけです。そうすると、どこを基点として比較するかにもよりますが、日本のマーケットが必ずしもニューヨークより下落率が大きいということじゃない。日米間の下落率格差には、円相場の変動も影響しています。
中井: その外国人投資家が、日本をどう見ているか。小泉さんの構造改革で自民党が選挙も勝って、「これは、日本は変わるんじゃないか」と外国人が評価したから、日本株のウェイトが上がっていった。ところが、その後は変わるのかと思ったら、「なにも変わらないんじゃないか」「日本は構造改革に対して、あきらめちゃったんじゃないの」という判断で、外国人の日本株をオーバーウェイトにしているという比率が21%まで下がった。彼らは、もっとうまい投資先がほかにあるんじゃないかと考えてしまったわけです。
石川: 外国人だけじゃなくて、日本人でさえ「日本はどうなってんだ」と思っていますよ(笑)。もうひとつ大事なことは、「日本の株は、なんで安いか」。つまり、株式市場というのは、企業の利益成長を追うマーケットなんですが、日本の企業の利益ってどうでしょう。明らかに、増益率がどんどん鈍化しているじゃないですか。近々、企業収益見通しが発表になると思います。これは2009年3月期、2010年3月期と2年余の先まで予想するわけですが、まともにいったら、この流動的な状況下でそんな先まで怖くて出せませんよ。世界経済や原油価格など、いまの時点では不透明な課題が非常に多い。2003年3月期の70%台の大幅増益からどんどん落ちてきて、2008年3月期も6%とか7%とか言っています。税引き後利益も同様。このような現状で、いつまで東京マーケットだけを見ているんですかと私は言いたい。
三原: 僕が衝撃的な話だと思ったのは、いま、東証が外国企業に「日本で株式公開しませんか」と誘ってみたら、「なんであんなローカル市場に公開しなきゃならないのか」と言われたというんです。
石川: 一般の投資家は毎日のように新聞を読んでいて、「なにかおかしいな」と思っているんじゃないでしょうか。日経新聞などでは、景気が悪くなると統計で説明している。雇用もおかしくなってきた。所得も増えない……。でも片方では、海外にどんどん投資を増やすとか、工場を増やすとか、マクロの話と違って威勢のよい企業が数多く報道されている。そして、元気な企業というのに目を向けてみると、その大部分はグローバル、つまり世界的に行動している会社。要するに企業も「脱・日本」なんです。彼らの商売からすると、日本のマーケットはワン・オブ・ゼムになっているんです。
三原: ここで言わせてもらえば、日本経済の今後を占っても仕方がないということですね。500兆円そこそこのGDP(国内総生産)が何年続いていますか。7年くらい続いているでしょう。2008年の日本経済は±1〜2%で、それでも名目はマイナスみたいなところでウロウロしているだけですよ。
石川: そうですね、2%いくかいかないかの話でやっているわけですよ。ヨーロッパなども数字が上がってきているのに、この低成長は厳しいですよ。

 

 

 

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