サブプライムが金融危機を引き起こしたのは?
―― サブプライムローンの根源は土
地のバブルですが、評価会社がトリプ
ルAといった評価をしたことも一因で
はないかと言われています。藤沢さん
は以前、投資信託の評価会社を起業さ
れていますがどうお考えですか?
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| 藤沢: |
そもそも投資信託の評価と証券
化商品の評価は全然違います。株をベ
ースにした投資信託は実体そのものに
投資していますが、証券化商品はその
実体をどんどん分解していってバブル
をつくっていき、そのバブルの泡の取
引をしているということです。
私は就職した当初、ベアー・スター
ンズ(※1)と一緒に証券化商品をつ
くっていましたが、その時不思議に思
ったのが、全部に前提条件があること
です。このぐらい経済成長があると金
利はこのぐらい動くから、そうしたら
この証券は95%の確率で安心です、と
いうように。前提条件に統計的な仮説
をどんどんのせていく。それは確かに
評価をする人の仕事ではありますが、
100%ではないのですよ。仮説の上に
立っているので崩れることは充分あり
えます。それを評価会社が評価してい
るからといって、95%とか60%の信
頼度合いを100%のように皆が考えて
しまっていたというのが問題だったの
ではないでしょうか。
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―― 三原さんはサブプライムが発生
してから3カ月後くらいの時、2007
年12月時点で「まだまだ厳しいのでは」
というお話をされていましたね。
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| 三原: |
当時私はサブプライムについて
はそれほど詳しくありませんでしたが、
訳のわからない商品があれだけ儲かっ
て、ウォール街で働く投資銀行の女性
事務員のボーナスが4000万、小ボス
のボーナスが5億、中ボスのボーナス
が20億という話を聞くと直感的にどこ
かおかしいと思いました。改めて調べ
てみたら、20倍、30倍といったとん
でもないレバレッジ(※2)を賭けて
いる。そこには今の藤沢さんのお話の
ように、住宅価格は下がらない、金利
は上昇しないという前提がいくつかあ
って、これが壊れたときに逆回転して
いくわけです。
一日で日経平均が300〜400円動い
たり、NYダウが1000ドルも動くとま
では正直予測がつきませんでしたが、
市場は相当荒れるなということは当時
から言っていました。ただ、サブプラ
イム問題はいわばアメリカの自業自得
なのだから、ここはテイクチャンスで
今度は日本が発信していくぐらいの気
持ちでやっていくべきですよ。
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| 藤沢: |
同感ですね。今、世界は一極化
から多極化へ移行しつつあって、もは
やアメリカが世界のリーダーである必
要はなくなりました。どういう市場、
あるいは社会地図をつくればいいかを、
まず日本が考えて発信すればいいので
す。今は自分で考えたことがちゃんと
受け入れられる時代に入りつつあるん
だと実感します。
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| 三原: |
日本は少なくとも個人金融資産
では、世界で一番豊かな国になってい
ます。だから自信を持たなきゃいけな
い。この豊かさをベースにこれからど
うやって食べていくのかということに
発想を変えなくてはと思います。
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グローバルな時代の日本のマーケットとは?
―― 今後どの方向に進むのが健全な日本のマーケットといえますか?
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| 三原: |
まず多くの日本人は、まだイン
ターナショナルが国際化だと思ってい
ます。しかし「ナショナル」は「国家」、
インターは「中」です。国内の問題が
国内で終わった時代がインターナショ
ナル。80年代にアメリカの不動産が大
暴落しましたが、その時に日本は何の
影響もありませんでした。
ところがグローバルというのはそう
ではない。ITが国境を取り払い、時差
も無くしてしまった。そこにFT(金融
工学※3)が発達してきて、アメリカ
の不動産はもはやアメリカだけのもの
ではなく、世界中の証券化商品となっ
て拡散化されていった。これがグロー
バリズムの怖さです。日本のマーケッ
トも当然その中で主要なプレーヤーで
すよ。
インターナショナルの時代は国内か
ら世界を見ていればよかったのですが、
グローバルの時代はもう宇宙から地球
を見るような発想で見ることが必要、
というのが今の私の考えですね。
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| 藤沢: |
100パーセント共感します。日
本株という少しだけナショナリスティ
ックなお話をすると、日本にはグロー
バリゼーションをきちんとしている企
業がたくさんありますが、海外の投資
家は日本の株を買わない。海外に行く
とよく言われます。「日本は企業も国民
も素晴らしいが、政治だけがひどい。
だから買わない」と。
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| 三原: |
だけど国民が素晴らしいかとい
うと、国民がその政治家を選んでいる
からね。国民の資質以上のリーダーは
持てないとローマ時代の言い伝えにも
ありますよ。
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| 藤沢: |
ですから日本の優良企業を日本
人が胸を張って支えられるようにする
ためには、やはり国民がきちんと政治
参加していくということが大事になっ
てくると思います。それが日本の株が
世界に認められる最初のスタートでは
ないでしょうか。
たとえば13%しか日本の投資家が支
持していない会社を外国人が買うはず
がないですよ。自分がにぎる寿司を「ま
ずいですよ」と言う寿司屋へは行きま
せんよね。そう考えるとやはり国民が
変わらざるをえない。これは鶏と卵で
す。国民が株式投資を真剣に考えるよ
うになれば政治も考え、政治を考える
ようになれば株式投資も考える。どち
らが先かは微妙ですが、その歯車を動
かし始めなければいけない、もっと加
速しなければいけないと感じますね。
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| 三原: |
私の考えは、馬鹿げた政治と既
得権しか守らない官僚が嫌なのだった
ら文句を言わずにお金を逃がせばいい
ということです。お金はフリーですか
ら、何も日本に居なければいけない理
由はないわけです。
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―― それは外国に投資しろということですか?
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| 三原: |
そうです。もしくは本社は日本
にあるとしても、外国で稼いでいるよ
うな日本の企業の株主になってもいい
でしょう。日本の投資家が間違えてい
ると思うのは、企業はファンドと同じ
だということに気付いていない点です。
みんなのお金を集めてつくるのが会社
ですね。そのファンドで株を買い、企
業を買う。何をやるかというと企業の
価値を上げていくわけです。配当を支
払って株価が上がれば、雇用が増え、
消費が増え、税収が増える。やはり社
会に富を生み出すのは企業なんです。
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―― 最後に読者へメッセージをお願いします。
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| 三原: |
とにかくまずは人まかせにせず、
自分で考えることをして欲しい。知識
(Information)を得ることは大切です
が、そこで考え知性(Intelligence)を
養っていくことが重要です。考えない
ことは、何よりも一番愚かなことだと
思います。それは結局他人のせいにし
ているわけですから。今の日本人の8
割は何も考えていないと思いますから、
だからこそチャンスに溢れているとも
言えるのです。
こんな面白い時はない。大変だと思
うか、面白いと思うかで差が出るので
しょうが、たかだか3万日しかない人
生の中で、これは得がたいチャンスに
巡り合ったと思い、自分で考え行動す
る人が勝つだろうと思います。
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| 藤沢: |
今私達は新しい世の中の価値観
を私達が動くことによって創れる時な
んですね。だから世の中がおかしい、
大人が間違っているとかいろいろなこ
とを言いますが、そう思うのだったら
株の一つでも買ってみれば、それが新
しい秩序や常識を生むはずです。文句
があるのならまず買ってみよう、動い
てみよう、そうしたら新しいトレンド
がつくれますよ。
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